緊急コラム「Zobiは東京芸大になぜ合格する?」(2)〈基本の大切さ〉

2016/03/22

入試実技、特に東京芸大油画における油彩制作に必要な個性とは「自分の視点・世界観」とそれを具現化する「表現力」です。ともすればこの表現力とは、何か特別な油彩技法やマチエールといった入試のための特殊な技能のことのように一般的には誤解されがちです。でも、皮肉にもそういう特殊な技能を磨けば磨くほど芸大合格は遠ざかるでしょう。表現とはそういうことを指してはいないからです。
また、私たちZobi講師陣が考える個性とは、当たり前かもしれませんが、ちゃんと自分の目で見て感じ、そしてそこから考えを働かせるところから出発していくことがだんだんと自立した自分の視点と世界観を持つことに繋がると考えます。また、「表現」と言われると、好きなものを好きなように描くと思われがちですが、それだけでは見る人に伝わる本当の表現にはなりません。自分の視点や考え方がきちんと伝わっているのかという客観性も同時に必要なのです。
では、どうしたらいいのか?そこでZobi講師陣が行っているのは、好きなものを好きなように描くことだけでは表現にならないと言いつつも、否定しているわけではなく、やはりまずは個別性に入る必要があるので、受験生一人一人の好みや感性を、できるだけ素直に楽しんで表現できる方法を身につけることをやっていきます。と同時に、客観的に伝えていくための力をつけていくという、ハイブリッドな学習法を実践します。このことについての詳細はコラム3でもその取り組みの一部を紹介しますが、まずは、油彩技法の基本をしっかりと習得することです。高校の美術部で制作してきた経験を生かして(もちろん未経験でもかまいません)さらに深く基本を理解し身につけることが必要なのです。「最初にそろえなければいけない絵具はどんな色なのか?」「どんな筆が必要なのか?」一見おろそかになりがちなこうした基本を身につける経験があってはじめて、より個性的な表現や技法を発見することへとつながっていけるのです。
絵具の扱いは、基本とはいえ実技制作を通してアドバイスされないとなかなか理解しにくいものです。ここでは、これ以上深く触れることはしないでおきます。

もうひとつ、Zobiが大切にしている基本に「デッサン(素描)」があります。
東京芸大油画の実際の第一次試験「素描」、第二次試験「素描」入試問題を見てみましょう。

平成27年度
第一次試験
素描「モチーフを描きなさい。」
(水の入ったビーカー、白い球体、炭、光沢のあるシルバーの布)
第二次試験 (※注 平成28年度は第二次試験の素描は廃止。絵画のみ制作。)
素描「折り紙を好きな形に折って、それをモチーフにして描きなさい。」

第一次試験の素描では、出題を
(1)どのように理解したか。
(2)どのように観察したか。
(3)どのように表現できたか。
以上の3点を主に絵画表現の基礎的な描写力を評価します。

受験生はとかく入試課題の特殊性にばかり目が行きがちですが、絵を描くための究極の力とはデッサンの練習を通じて身につけた「客観的な観察力」のことです。どれだけ感性豊かにアイデアや構成が頭の中に生まれても、そうしたイメージを具体的にリアリティを持って再現し描くためには「デッサン力」が不可欠なのです。
木炭、鉛筆、それら二つの混合技法を基礎から学び、石膏、静物、人物、風景、そして様々なイメージをモチーフとしてデッサンを描く練習が必要なのです。ただ、東京芸大合格を目指したデッサン力の養成だからと気後れする必要は全くありません。大切なのは技術ではないですし、ましてや特殊な技法を駆使した職人芸のようなデッサン力が必要なわけではありません。あくまでも「素直な目」でモチーフをよく観察し、ていねいに描くことです。そうした基本の大切さを理解し積み重ねていくことの先に、東京芸大油画への現役合格があります。しかも、そうしたことを心がけて実践していくことは、実は誰でもやっていけることなのです。

では、実際に表現力や構成力、独自の視点・発想力を養うにはどんなトレーニングが効果的なのかを見ていきましょう。

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